【開発者の声】RnineTライディングステップキット
2015/02/22
去年の暮れにステップの位置を決める為の、試作品を製作しました。
ノーマルのポジションは少し大柄な方以外は可も無く不可も無くといった感じです。
基本位置は、高さはノーマルと同等で少し(約10mm)後ろに設定しました。
バイクの性格上色々な使い方をされるとの思いから、出来るだけ調整(可変)の範囲を
多くすることで、社長の了解を得ました。(最初は9ポジションです)
ペダルのほうは以前よりアエラのペダルはリーチの調整(2ポジション)が可能な仕様でしたが、今回は無段階(前後に10mm範囲)にする事も決まりました。
さてレイアウトです。調整範囲を広げると色々と干渉やら何やら制約が多く、
更に左側は、サイドスタンドが何かと悪さをしそうな位置に鎮座しております。
チェンジペダルをノーマルの位置に付けてステップバーとのリーチをあわせると?
考えていても始まらないので作ってみました。
試乗です。10Mで終わりました。超ショートペダルになってしまい、乗れた物ではありませんでした。さて困りました。リンクを使って位置を変えるにもスペースが無く、ステップバーと同軸にするにも、ネジやロットエンドの干渉があり?・・・・
そういえばアエラのライディングステップのヒールガードを固定している特殊なネジを使用すれば何とかなるかも?と考え色々とシミュレーションしました。3D CADソフトでパーツのレイアウトを試行錯誤する事しばし、何とかなりそうな予感。
正し、懸念のあったサイドスタンドとその突起(スタンドを出す為の)は実際にやってみなければ判りません。・・・・
試作です。ご存じのようにチェンジペダルには、チェンジシャフトとの固定の為にセレーションという花びらのようなギザギザがあります。これを加工するには特殊な工具(刃物)が必要で特注品です。納期に時間がかかります。・・・
無い物は作ってしまえということで、こちらにあるセレーションと勘合できるチェンジシャフトを製作しました。幸いこの車両はミッションケースから出ているシャフトとは別にフレーム側にチェンジペダルと勘合させるためのシャフトがあります。純正品より径の細い某メーカーのシャフトが手持ちにありましたので、シャフトの長さを合わせて、ロットエンドの付く部分を切り出し、穴をあけて溶接しました。小径のシャフトに合わせて樹脂のブッシュを削りだしチェンジアームのほうは、レバー比とスタンドとの干渉を現物確認して溶接加工して装着しました。
懸念のあったスタンドとの干渉は、絶妙にクリアしました。先程少しお話したように、フレームの内側にすでにリンクがありますので、今回はWリンクということになります。
机上の計算ではロスが多いことになりますが、シフトフィールはいかに?
試乗を終えて驚きました。想像していた範囲をはるかに超えるシフトフィールです。
走り出してすぐセカンドギアにチェンジするタイミングで違いがはっきり体感できます。
Wリンクのデメリットよりも、同軸にしたことのメリットが勝りました。
私自身こんな気持ちの良い、無意味にチェンジをしたくなるようなフラットツインは経験したことがありませんでした。
他のスタッフも試乗して、同様のコメントをしています。
今年になって程なく量産試作ができたのですが、そこからが大変でした。
今回は社長のこだわりがいつもにも増してすごく、既存のアエラのスタイル/デザインではバイクに合わない。レトロモダンな90Tに合わせたデザインにすべだ。と…
この主張がハンパありませんでした。3D CADでデザインシミュレーションして、修正箇所を何度も伺って試作くりかえすこと数回、現車の横でイメージをふくらませること数回、やっと決まりました。初期ロットの製作がまもなく完了します。
モトラッドカスノの試乗車にはすでに装着済みです。
ぜひ試乗してみてください。そしてすばらしいシフトフィールを体感してください。